日本銀行の信用
金融のこれからはどうなっていくのか
今日は「池上彰教授の東工大授業」のLecture4 金融 「紙切れを「お金」に変える力とは」についてレポートを書きます。
この講義では貨幣という共同幻想がいかにして今のような形になったのかが説明されました。
お金がお金として信頼されているのは、その国の中央銀行と政府を信用しているからです。例えば、カンボジアのポルポト政権下の様に貨幣を廃止した統治での紙幣や、イラクにおけるフセイン元大統領が印刷された紙幣は貨幣としての価値が政府に保障されなくなったので、もはやお土産品としてしか利用価値がなくなっています。
日本においても、日本の1万円札は「日本銀行法」で
第46条
日本銀行は、銀行券を発行する。
2 前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という)は、法貨として無制限に通用する。
とされており法律でお金と決まっているのです。
私はこの講義を日本銀行の信用に照らして考えてみました。
日本は1990年ごろを境にデフレが続いています。
デフレが続くと、消費意欲が落ち、ものが売れません。新たに資金を借りてまで経営を拡大しようという動きになりにくいため、経済が低迷してしまうのです。
アベノミクスの3本の矢の一つである希望を生み出す強い経済を生み出すために、日本銀行は黒田総裁のもとで量的緩和やマイナス金利政策を執り行ってきました。
これは、今までの伝統的な金融政策では景気は回復しないと判断したためでした。しかし、これらの非伝統的政策も確実な効果が出ているとは言えない状況にあります。
2016年9月22日の朝日新聞によると、
日銀は市場に流すお金の量を重視する政策から、金利を操作する政策に軸足を移す。量を増やした結果、金利は下がったが、ペースが急激で、年金運用の悪化などの問題が出たからだ。しかし、本来は経済見通しなどを元に市場で決まる金利が、日銀の思いのままに操作できるかどうかは分からない。
「従来の政策の枠組みを強化した。手詰まりになったということはない。」
と、金融緩和策が上手くいかず方向修正をしています。
そして、2016年11月2日の朝日新聞では
日本銀行は1日の金融政策決定会合で、物価上昇率2%の目標達成時期を「2017年度中」から「2018年度ごろ」に先送りした。・・・
物価目標の達成時期の先送りは今年3度目で、大規模緩和開始からは5度目となる。
と、金融緩和策の効果が予想に反して芳しくないことが読み取れます。
以上により、日銀はデフレ回復に向けて策を凝らしているが日本の景気回復はそれでもまだ遠いという絶望的な現状が分かります。
中央銀行が正常に機能を果たさないことは、日本の貨幣の信用が落ちるということであり、まさか日本の通貨がお土産品としてしか機能しなくなるなんてことはないと思えませんが、先例は確かにあるし、お金とは共同幻想であるということを忘れず、日本円だけを盲目的に信用していては将来の自分はこの国と一緒に安く買いたたかれてしまうのではないかという気がして恐ろしいです。
あると当たり前のものを当たり前と信じているとお金にいつか裏切られるかもしれないという危機感を持つべきだと感じました。