日本国憲法は改正すべきか

今日「池上彰教授の東工大授業」を読んでいて、池上さんが生徒たちに

A,いまの憲法は変えるべきだ

B,いまの憲法は変えるべきではない

C,わからない、あるいはその他の意見

でどれかを選ばせていました。その後、立憲主義自衛隊について講義が進んでいったのですが、僕はこの中のどの立場なのだろうと思い、2015年にニュースになった安保法案を調べることにしました。

安保法案の問題は、立憲主義の観点からすると集団的自衛権憲法では認められていないことです。

これを政府は解釈改憲をすることで

国の存立を全うするために必要な時は、必要最小限度の集団的自衛権ならできる by高村正彦副総裁

という解釈で平和安全法制を進めていったのです。

しかしこの解釈は法律の専門家から言わせると論理破たんしているのです。

高村副総裁が集団自衛権について述べていることがことごとく小林節氏、長谷部恭男氏ら弁護士に反論されているので、いくつかピックアップしました。

 

  • 集団的自衛権が認められる根拠としての砂川判決について

砂川事件

1957年、東京都砂川町(現・立川市)にあった米軍基地の拡張に反対する7人が基地に入り、旧日米安保条約に基づく刑事特別法違反に問われた事件。米軍駐留の合憲性が争点となり、59年の最高裁判決は「わが国が必要な自衛の措置をとりうることは当然」と指摘した。自民党高村正彦副総裁は判決について「必要最小限の集団的自衛権を排除していない」とし、行使容認の根拠になると主張していた。

砂川事件(すながわじけん)とは - コトバンク

 高村副総裁の意見

1959年の有名な砂川判決において、個別的とか集団的とか区別をしないで、自衛権については、国の平和と安全を維持し、国の存立を全うするための措置は当然とりうる。そしてその前提として、固有の権利として自衛権というものは当然持っているとも言っているわけであります。

小林節氏、長谷部恭男氏の意見

砂川事件の解釈も珍妙です。あそこで問われたのは在日米軍基地の合憲性です。アメリカの集団的自衛権を行使して日本に駐留することの合憲性であって、日本の集団的自衛権なんかどこにも問われていない。根拠とする発想自体がおかしい…

「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の機能の行使として当然のこと」この文言が現れる判決文の段落は、「憲法9条は、わが国がその平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることを、何ら禁ずるものではない」、そういう結論で締めくくられています。この結論を引き出すために、日本には自衛権があると指摘しているに止まります。…砂川事件から集団的自衛権の行使が合憲であるとの結論が導かれるとの主張は、法律学の基本原則に衝突する考え方です。

これでわかるのは、自民党がもっともらしく取り出している根拠は法律の専門家からしたら全く無価値なものだということです。アメリカの集団自衛権の議論であり日本がもつ自然権としての自衛権の議論であった判決が日本の集団的自衛権を認める文脈で話されるのはおかしいと感じました。

高村副総裁の意見

内閣法制局は、集団的自衛権の行使はできないと言ったときに、集団的自衛権の典型的な対応を思い浮かべて言ったのだろうと思います。

我が国の存立を全うするために必要なこと、あるいは内閣法制局の言葉で言えば、必要最小限のことには、集団自衛権の範疇に入るものもあるよと。そういうことを検討するべきであると思います。

小林節氏、長谷部恭男氏の意見

日本において、内閣法制局がこの種の問題について違憲、合憲の判断を下しています。従来は一貫して、内閣法制局は「集団的自衛権違憲だ」と何度も言い続けてきたので、こうした法律は提案されることはなかった。しかし今の内閣のもとで内閣法制局はプレッシャーに負け、解釈を変えた。

日本の違憲審査は入り口で内閣法制局がやって、出口で最高裁がやる仕組みになっていたんですが、ご指摘の通り内閣法制局は単に内閣の下にある一部門にすぎない。それがなぜコンセイユ・デタのように力を持ってきたかというと、人間の力だった。優秀な人がプライドを持って守ってきた。今回、人事権を行使されて、内閣法制局は形式通りに、単に内閣官房の局の一つになってしまった。

ここでわかるのは高村副総裁は内閣法制局に制限されているように話していますが、専門家からすると内閣法制局は内閣のプレッシャーに負けて形式的なものになっているということです。安保法案は内閣法制局が監視しているように見えて、実は内閣の匙加減次第になってしまっていて三権分立のバランスが取れていないのです。

現在国会の中でも自民党公明党の連立政権が過半数を超える議席を持っているのでバランスが崩れた強制採決が行われているのをニュースで見かけます。

一つの政党、機関に権力が集中してチェック機関が働かない今の日本の権力構造は危険で恐ろしく感じます。

 

  • 憲法解釈の多数派について

高村副総裁の意見

野党時代、憲法改正推進本部において、谷垣総裁の下で、たまたま集団的自衛権の議論がされておりました。その時の大勢は集団的自衛権の行使を現憲法下で認めても良いのではないかというものでありましたが、少数派として、憲法を改正して認めるべきであり、解釈を変えてというのはおかしいと安保関係の有力者からそのような意見がありました。

小林節氏、長谷部恭男氏の意見

私の推測はおそらく95%超が違憲と言うと思う。裁判官を含めた法曹一般でも、非常に多いだろうと思う。裁判官だと、前の前の内閣法制局長官、山本庸幸氏は、最高裁判事の就任会見で「違憲だ」と明言した。

 

大学教授の95%が違憲と言っている以上、それに習った人々の集まりである弁護士会もそのような状態で運動を続けています。

 これは高村副総裁がはっきりとは述べていないですが、憲法解釈改憲派が多数派であることをほのめかしています。

政治家と専門家の多数派意見が真っ向から食い違っていて、政治家は専門家の意見を無視して会見解釈を行っていることが分かり、自民党の強引さと危うさが分かりました。

 

  • まとめ

この三点を通して僕が感じたのは、政府は憲法を軽んじているということです。

安保法案の必要性として阿部首相は「日本を取り巻く安全保障環境が変化し、一層厳しさを増したため」と説明しているが、そのために法律の専門家の意見を聞かずに憲法を間違った解釈でとらえた法案を通していいものだろうか。

憲法についての説明で池上さんは、

かつて国王が専制政治を敷いていた欧州各国では、人々が国王の権力を制限するために、国王も守るべきルールを作り、これを国王に押し付けました。これが憲法です。

と説明しています。日本の場合は憲法に次の条文があります。

憲法第99条

天皇または摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。

 

安保法案から導き出された僕の冒頭への答えは、

C,国民が憲法自体やその議論について理解することで、政府のチェック機能を果たすべき。

です。

先までは自民党憲法を軽んじることを批判していましたが、彼らはわたしたち国民の代表です。国民が憲法について甘く安保法案の危うさを知らなければ、国民の代表もそれなりにふるまってしまうのもしょうがないと思います。だって、外国からの圧力が強いんだもん。

外国と同じように私たち国民からも政府に圧力をかければ、政府はそれに反応して動くことでしょう。

ひとまず、次の選挙では自民党以外に投票しよう!

後、政治についてもっと知ろう!

 

参考URL:

安保法案とは、そもそも何? わかりやすく解説【今さら聞けない】

安保法制に「違憲訴訟を準備」 小林節氏・長谷部恭男氏が安倍政権を批判(会見詳報)

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